太平要術の書とは
太平要術の書は、中国の歴史小説『三国志演義』に登場する、不思議な術が記された書物です。物語の冒頭、後に黄巾の乱を起こす張角が、山で薬草をとっていたときに南華老仙と名乗る碧い目の老人に出会い、「太平要術」という三巻の天書を授かったとされます。老人は「これで天に代わって教えを広め、世の人々を救え。もし悪い心を起こせば必ず報いを受ける」と言い残して、一陣の風とともに消えたといいます。
張角と黄巾の乱
張角はこの書を昼夜学んで、風を呼び雨を降らせる術を身につけ、「太平道人」と名乗りました。疫病が流行すると、符水(お札を浸した水)を配って病人を治し、多くの信者を集めます。やがて張角は「蒼天すでに死す、黄天まさに立つべし」と唱え、黄色い頭巾をつけた数十万の信者とともに184年に反乱を起こしました。これが黄巾の乱で、後漢王朝が衰え、劉備・曹操・孫権らの英雄が登場する三国時代の幕開けとなりました。
モデルとなった『太平経』
太平要術の書は小説の創作ですが、モデルとなった書物は実在します。歴史書『後漢書』には、于吉(干吉)という人物が神から授かったという『太平清領書』が皇帝に献上されたことが記されており、これが道教の経典『太平経』のもとになったと考えられています。張角が率いた「太平道」も、こうした太平思想の影響を受けた宗教集団でした。
『三国志演義』では、この于吉も江東の地に登場する仙人として描かれ、孫策と対立する場面があります。太平要術の書は、小説や漫画、ゲームなどの三国志作品で、妖術の源となる伝説の書としてたびたび取り上げられています。





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