メリーさんの電話とは
メリーさんの電話は、捨てられた人形から電話がかかってくるという都市伝説です。少しずつ近づいてくる電話の声と、最後の一言の怖さで知られ、日本で最も有名な怖い話の一つになっています。
話はとても短く、だれでもすぐに覚えて語ることができます。そのわかりやすさから、子どもたちの間で長く語り継がれてきました。
あらすじ
ある少女が、引っ越しをすることになりました。そのとき、古くなった外国製の人形「メリーさん」を、ゴミ捨て場に捨てていきました。
引っ越した先の家で暮らしていたある夜、電話が鳴りました。受話器を取ると、「わたしメリーさん。今ゴミ捨て場にいるの」という声がして、電話は切れてしまいます。しばらくすると、また電話が鳴りました。「わたしメリーさん。今〇〇駅にいるの」。電話は何度もかかってきて、「今あなたの家の近くにいるの」「今あなたの家の前にいるの」と、メリーさんは少しずつ近づいてきます。
恐ろしくなった少女が、思い切って玄関のドアを開けても、そこには誰もいません。ほっとしたそのとき、また電話が鳴りました。「わたしメリーさん。今、あなたの後ろにいるの」――。
学校の怪談の定番
メリーさんの電話は、昭和の後半ごろから子どもたちの間で広まり、学校の怪談として全国で語られるようになりました。1990年代には、学校の怪談を集めた本や、テレビ番組、映画などでも取り上げられ、さらに広く知られるようになりました。
この話は、少しずつ恐怖が迫ってくる構成が、怖い話としてとてもわかりやすくできています。話し手が、最後に「今、あなたの後ろにいるの!」と大きな声を出して、聞き手を驚かせる遊びとしても親しまれてきました。
なぜ怖いのか
メリーさんの電話の怖さは、相手の姿が見えないまま、声だけが少しずつ近づいてくることにあります。居場所を知らせる電話がかかってくるたびに、聞き手の頭の中では、自分に近づいてくる人形の姿が想像されていきます。そして最後に、目の前ではなく「後ろ」という、自分では見えない場所に現れることで、恐怖が一気に高まるのです。
「後ろに何かがいる」という怖さは、日本のわらべうたかごめかごめの「後ろの正面」にまつわる怖い噂など、ほかの怖い話にも見られるものです。
捨てられた人形の恨み
メリーさんの話の背景には、大切にされなくなった人形が恨みを抱くという考え方があります。日本には、長く使われた道具に魂が宿って妖怪になるという付喪神の考え方や、人形には持ち主の魂が宿るという考え方が古くからあります。役目を終えた人形を、ゴミとして捨てずに、寺や神社で供養する「人形供養」が今も行われているのは、こうした考え方の表れといえるでしょう。
髪が伸びるといわれるお菊人形のように、人形にまつわる不思議な話は、日本に数多く伝わっています。
メリーさんのその後
この話には結末がなく、振り返ったらどうなったのかは語られません。そのため、さまざまな続きやパロディが作られてきました。振り返ったら優しいメリーさんがいた、という話や、メリーさんが道に迷ってしまう話、反対にメリーさんが驚かされる話など、ユーモラスな続きも多く生まれています。
電話の形も、時代とともに変わってきました。家の固定電話から携帯電話へ、そしてスマートフォンのメッセージへと、メリーさんの連絡手段も変化しています。時代に合わせて姿を変えながら語り継がれていることが、メリーさんの電話が長く愛されてきた理由なのでしょう。





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