イエレンとは
イエレンは、中国の山岳地帯にすむとされる、獣人型の未確認動物(UMA)です。中国語で「野人(イエレン)」と書き、特に湖北省の神農架(しんのうか)の深い森で多くの目撃談が伝えられています。身長は2mほどで、全身が赤褐色の毛に覆われ、二本足で歩くといわれます。
イエレンは、ヒマラヤのイエティや北アメリカのビッグフットと並ぶ、アジアを代表する獣人型UMAです。中国では、国の研究機関が大規模な調査を行ったこともある、とても注目されたUMAでした。
古くから伝わる山の野人
中国では古くから、山にすむ毛むくじゃらの野人の話が伝えられてきました。紀元前の詩人・屈原が残した詩集『楚辞』には、山に住む神秘的な存在「山鬼」が歌われており、これを野人と結びつけて考える人もいます。また、古い書物や地方の記録にも、山の中で人のような獣を見たという話がたびたび記されています。
神農架の森
イエレンの目撃が特に多い神農架は、中国中部の湖北省にある、深い山林地帯です。標高3000mを超える山々が連なり、原生林が広がるこの地域には、キンシコウ(金色の毛を持つサル)など、珍しい動物が数多くすんでいます。神農架という名前は、古代中国の伝説の皇帝で、薬草を見つけたとされる「神農」が、ここで薬草を採るために足場(架)を組んだという伝説に由来するといわれています。
1970年代の大規模調査
1970年代になると、神農架でイエレンの目撃談が相次ぎました。特に1976年には、車で山道を走っていた地元の役人たちが、道路に現れた赤褐色の毛を持つ大きな生き物を目撃したと報告し、大きな話題になりました。
これを受けて、中国の研究機関が中心となって、100人を超える大規模な調査隊が組織され、神農架の森に分け入って調査が行われました。調査では、足跡や、イエレンのものとされる毛、ふんなどが集められましたが、イエレンの存在を決定づける証拠は見つかりませんでした。その後も、何度か調査が行われています。
イエレンの正体は?
イエレンの正体としては、神農架の森にすむ金色の毛を持つサル「キンシコウ」や、ツキノワグマ、アカゲザルなどの見間違いが挙げられています。キンシコウは、長い金色の毛に覆われた大型のサルで、遠くから見ると、毛むくじゃらの人のように見えることがあります。クマが後ろ足で立ち上がった姿も、二本足で歩く獣人に見えたかもしれません。
ギガントピテクスの生き残り?
イエレンの正体として、かつてアジアにすんでいた巨大な類人猿「ギガントピテクス」の生き残りではないかと想像する人もいます。ギガントピテクスの存在がわかったきっかけは、1930年代に、香港などの漢方薬の店で「竜の骨」として売られていた大きな歯の化石が、研究者によって調べられたことでした。その後、中国南部の洞窟などから化石が見つかっています。
ただし、ギガントピテクスは数十万年前に絶滅したと考えられており、現在まで生き残っているという証拠はありません。
世界自然遺産の森
神農架は、豊かな生態系が評価され、2016年に世界自然遺産に登録されました。現在では、イエレンの伝説も観光の魅力の一つとなっており、イエレンをテーマにした展示などもあります。モンゴルのアルマスやインドネシアのオラン・ペンデクなど、アジアの山や森には、さまざまな獣人の伝承が伝わっています。





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