イエティとは
イエティは、ヒマラヤ山脈の高地に住むとされる、全身が毛でおおわれた大型の類人猿のような生き物です。日本では「雪男」の名でも知られています。二本足で歩き、身長は人間と同じくらいから2m以上まで、さまざまに語られます。シェルパなど現地の人々の間では、古くから山に住む存在として語り継がれてきました。
北アメリカのビッグフットと並ぶ、世界で最も有名な獣人型の未確認動物(UMA)の一つです。
「忌まわしき雪男」という名前
イエティが西洋に知られるきっかけになったのは、1921年のイギリスのエベレスト偵察隊です。隊が雪の上に大きな足跡を見つけると、同行したシェルパたちは、それを山に住む獣の足跡だと説明しました。この話を伝えた新聞記者が、現地の呼び名を「忌まわしき雪男(アボミナブル・スノーマン)」と英語で紹介したことから、「雪男」という呼び名が世界に広まりました。
「イエティ」という言葉は、シェルパの言葉で「岩の獣」といった意味だとされます。現地では、イエティにはいくつかの種類があり、家畜を襲う大型のものや、小型のものがいると語られてきました。
1951年の足跡写真
イエティを世界的に有名にしたのが、1951年に登山家エリック・シプトンらがエベレスト周辺の氷河で撮影した足跡の写真です。雪の上に残された長さ30cmほどの大きな足跡と、比べるために置かれたピッケルが写ったこの写真は、新聞に掲載されて大きな話題となりました。
この写真をきっかけに、1950年代にはイギリスの新聞社による捜索隊をはじめ、各国の登山隊や探検隊がヒマラヤでイエティを探しました。日本からも調査隊が派遣され、日本の探検家の中には、生涯をかけてイエティを追い求めた人もいます。
寺院に伝わる「イエティの頭皮」
ネパールのクムジュン村の寺院には、「イエティの頭皮」として大切にされてきた、とがった形の毛皮の帽子のような遺物が伝わっています。1960年、エベレスト初登頂で知られるエドモンド・ヒラリーが率いた調査隊がこれを借りて調べたところ、ヒマラヤにすむカモシカの仲間の毛皮から作られたものだと結論づけられました。ほかの寺院に伝わる「イエティの手」とされる遺物についても、さまざまな調査が行われてきました。
DNA調査でわかったこと
2017年には、アメリカなどの研究チームが、博物館や個人が所蔵する「イエティのもの」とされてきた毛、骨、皮膚、ふんなどの標本のDNAを詳しく調べた結果を発表しました。その結果、9つの標本のうち8つが、ヒマラヤグマやチベットヒグマなど、ヒマラヤにすむクマのものでした。残りの1つは犬のものでした。
この研究により、イエティの伝説の背景には、人の目にふれることの少ない高地のクマの存在があったと考えられるようになりました。クマは後ろ足で立ち上がることがあり、その姿を見た人が、二本足で歩く獣人だと思った可能性があります。
足跡の正体
雪の上の大きな足跡についても、クマやユキヒョウ、キツネなどの足跡が、太陽の光で雪が溶けて広がり、大きな一つの足跡のように見えたものという説が有力です。動物が前足の跡に後ろ足を重ねて歩くと、さらに大きく不思議な形の足跡ができることもあります。
山の暮らしとイエティ
イエティは、ヒマラヤの厳しい自然の中で暮らす人々にとって、山の恐ろしさや神秘を表す存在でもありました。夜の山や険しい場所に近づかないよう、子どもたちに語り聞かせる話でもあったと考えられています。現在では、ネパールの観光や登山の文化の中で、親しみのあるキャラクターとしても愛されています。中国のイエレン(野人)やモンゴルのアルマスなど、アジアの山々には似た獣人の伝承が数多く伝わっています。







コメント(0)
まだコメントはありません。伝承や目撃談の補足、感想など、最初のコメントを書いてみませんか?