シーサーペントとは
シーサーペント(大海蛇)は、海に現れる巨大な蛇のような怪物の総称です。長い首や細長い体を持ち、海面に頭を突き出したり、背中のこぶを波間に見せたりしながら泳ぐ姿が、世界中の船乗りたちによって報告されてきました。
シーサーペントは、特定の一つの生き物の名前ではなく、海で目撃される正体不明の巨大な細長い生き物をまとめて呼ぶ言葉です。古い伝承から近代の目撃記録まで、長い歴史を持つ海のUMAです。
北欧の伝承と古地図
海の大蛇の伝承は、特に北欧で古くから語られてきました。16世紀のスウェーデンの聖職者オラウス・マグヌスは、北欧の地図や著書の中で、ノルウェーの海にすむ、長さ60mにもなる巨大な海蛇を描きました。その大蛇は、船を襲って船乗りを食べてしまうと記されています。中世の地図には、海のあちこちに、こうした怪物の絵が描き込まれていました。
18世紀には、グリーンランドで布教を行ったノルウェーの宣教師ハンス・エーゲデが、船の上から巨大な海の怪物を見たと記録しています。
アメリカ・グロスターの騒動
1817年、アメリカ東部マサチューセッツ州の港町グロスターの沖で、巨大な海蛇が何度も目撃され、大きな騒ぎになりました。多くの住民が海辺から怪物を見たと証言し、地元の学会が目撃者の証言を集めて調査を行いました。
軍艦デイダラス号の目撃
シーサーペントの目撃談の中でも特に有名なのが、1848年にイギリス海軍の軍艦デイダラス号の乗組員が、南大西洋で目撃したという記録です。艦長は、首を水面から出して泳ぐ、長さ20m近い生き物を見たと海軍に正式に報告し、当時の新聞でも大きく取り上げられました。軍艦の艦長と乗組員という、信頼できると考えられる人々による目撃だったため、大きな注目を集めました。
科学的な研究の試み
1892年、オランダの動物学者アントーン・コルネリス・オウデマンスは、世界各地から集めた数百件のシーサーペントの目撃記録を分析した大著『大海蛇』を出版しました。オウデマンスは、シーサーペントの正体は、首の長い未知の巨大なアザラシの仲間であるという説を唱えました。この本は、シーサーペントを科学的に研究しようとした先駆的な試みとして知られています。
シーサーペントの正体は?
シーサーペントの正体としては、いくつかの説が挙げられています。最も有力な候補の一つが、体長が数mから、ときには8m以上にもなる細長い深海魚リュウグウノツカイです。リュウグウノツカイは、ふだんは深海にすんでいますが、弱ったときなどに海面近くに浮かび上がってくることがあり、銀色に光る細長い体と赤いたてがみのような背びれは、まさに海の大蛇のように見えます。
そのほか、大型のウナギの仲間、群れで一列に並んで泳ぐイルカやクジラ、巨大なダイオウイカの長い腕、漂う大きな海藻などの見間違いも考えられています。一列に並んで泳ぐイルカの背中は、こぶのある長い一匹の生き物のように見えることがあります。
世界の海の大蛇
海の大蛇の話は、世界中の海に伝わっています。日本にも、船を乗り越えていく巨大な海の怪物イクチの伝承があり、シーサーペントとよく比べられます。カナダ西岸のキャディも、現代のシーサーペントの一つです。北欧神話の世界をとりまく大蛇ヨルムンガンドのように、海の大蛇は神話の中にも登場しています。





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