ゴブリンとは
ゴブリンは、ヨーロッパの民間伝承に登場する、小柄で醜く、いたずら好きな妖精・小鬼です。人間に悪さをしたり、物を隠したり、悪夢を見せたりするといわれ、悪い妖精の代表格として語られてきました。
現代のファンタジー小説やゲームでは、緑色の肌をした小さな魔物として、最初に出会う敵の定番になっています。しかし、もともとの伝承のゴブリンは、もっと多様で、人間の暮らしのすぐそばにいる存在でした。
ゴブリンの語源
ゴブリンという言葉は、中世のフランス語やラテン語を経て英語に入ったと考えられています。ギリシャ語で「いたずら好きの精霊」を意味する言葉にさかのぼるという説や、ドイツの家の精霊コボルトと同じ語源だという説もあります。中世のフランスには、ゴブリンにあたる精霊が町に住みついていたという話も伝わっています。
伝承の中のゴブリン
伝承の中のゴブリンは、人をからかったり、驚かせたりする、いたずら好きの存在として語られることが多くありました。夜中に家の中で物音を立てたり、牛乳を腐らせたり、馬を夜通し走らせて疲れさせたりするといわれます。また、旅人を道に迷わせる話もあり、イギリス南西部のピクシーとも似た性格を持っていました。
ホブゴブリン
ゴブリンの中でも、家に住みついて家事を手伝ってくれる、親しみやすいものは「ホブゴブリン」と呼ばれて区別されました。「ホブ」は、田舎の素朴な人や、親しみを込めた呼び名を表す言葉です。ホブゴブリンは、夜のうちに掃除や皿洗いを手伝ってくれますが、お礼に服を贈ると、喜んで去ってしまうといわれます。
シェイクスピアの『夏の夜の夢』に登場するいたずら好きの妖精パック(ロビン・グッドフェロー)も、ホブゴブリンと呼ばれることがあります。
『ゴブリン・マーケット』
19世紀のイギリスの詩人クリスティーナ・ロセッティは、1862年に物語詩『ゴブリン・マーケット』を発表しました。この詩では、ゴブリンたちが、甘くおいしそうな魔法の果物を売り歩き、それを食べた娘が衰えていく様子が描かれています。妹を救うために、姉がゴブリンたちに立ち向かう姿は、多くの読者の心を打ちました。
また、スコットランドの作家ジョージ・マクドナルドの童話『お姫さまとゴブリンの物語』(1872年)では、地下に住むゴブリンたちが、お姫さまをさらおうとたくらむ姿が描かれ、のちのファンタジー作品に影響を与えました。
トールキンのゴブリン
J・R・R・トールキンの『ホビットの冒険』(1937年)には、山の地下に住む邪悪なゴブリンの群れが登場し、主人公たちを捕らえようとします。トールキンの『指輪物語』では、同じような存在が「オーク」と呼ばれ、悪の軍勢として描かれました。
ゲームのゴブリン
トールキンの作品の影響を受けて、現代のRPGなどのゲームでは、ゴブリンは、集団で襲ってくる緑色の肌の小鬼として、最初に出会う敵の定番になりました。弱いけれどずる賢く、宝を集めるのが好きな種族として描かれることも多くあります。小さな悪魔インプとも、よく似た存在として扱われます。





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