コモドドラゴンとは
コモドドラゴン(コモドオオトカゲ)は、インドネシアのコモド島などにすむ、世界最大のトカゲです。全長は3mに達することもあり、シカやイノシシ、スイギュウなどの大型の動物も襲って食べます。その姿は、まさに伝説の竜を思わせるものです。
コモドドラゴンは、20世紀の初めまで、西洋の科学者には知られていませんでした。「陸にすむ巨大なワニ」という噂だけが伝わっていた生き物が、どのようにして発見されたのかを紹介します。
「陸のワニ」の噂
インドネシアの小スンダ列島の島々には、昔から巨大な「陸のワニ」がいるという噂がありました。当時この地域を植民地としていたオランダの人々の間でも、竜のような生き物の話は語られていましたが、実際にその姿を確かめた人はおらず、半信半疑の話として扱われていました。
1910年の確認と新種の記載
1910年、オランダ植民地軍の将校が、コモド島で「陸のワニ」の噂を聞き、島へ渡って調査を行いました。将校は実際に巨大なトカゲを仕留め、その写真と皮を、ジャワ島ボゴールの動物学博物館に送りました。
博物館長ピーター・オーウェンスは、この標本を調べ、1912年に新種として発表しました。こうして「コモドオオトカゲ」は、正式に科学の世界に登場したのです。噂の「陸のワニ」は、ワニではなく、オオトカゲの仲間でした。
「生きた竜」とキングコング
1926年には、アメリカの探検隊がコモド島を訪れ、生きたコモドドラゴンをアメリカに持ち帰りました。「生きた竜」は大評判となり、多くの人々が一目見ようと動物園に集まりました。この探検は、のちに映画『キングコング』(1933年)が作られるきっかけの一つになったともいわれています。巨大な生き物がすむ未知の島へ探検に行くという映画の筋書きは、コモド島への探検とよく似ています。
コモドドラゴンの狩りと毒
コモドドラゴンは、獲物を待ち伏せして襲い、鋭い歯でかみついて大きな傷を負わせます。かつては、口の中にいる細菌が獲物の傷を悪化させて弱らせると考えられていました。しかし、2000年代の研究で、コモドドラゴンの下あごには毒を出す腺があり、かまれた獲物は毒によって血が止まりにくくなり、弱っていくことがわかりました。
コモドドラゴンは、とても鋭い嗅覚を持っており、長い舌を出し入れして、数キロ離れた場所にある死んだ動物の匂いもかぎ分けることができるといわれます。
メスだけで子どもを産む
2006年、イギリスの動物園で飼育されていたコモドドラゴンのメスが、オスと一緒に暮らしたことがないのに卵を産み、子どもがかえったことが報告され、話題になりました。これは「単為生殖」と呼ばれる現象で、メスだけで子どもを残すことができる仕組みです。
絶滅の危機と世界遺産
コモドドラゴンは、コモド島やリンチャ島など、わずかな島にしか生息していません。生息地はコモド国立公園として保護され、1991年に世界遺産に登録されました。しかし、生息数は少なく、気候変動による海面の上昇で生息地が失われるおそれもあり、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種に指定されています。
伝説から実在へ
噂の怪物が実在を確かめられた例として、コモドドラゴンはオカピやジャイアントパンダなどと並んで紹介されます。また、伝説の龍やドラゴンのイメージは、こうした巨大な爬虫類の姿とも重なって語られることがあります。





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