ボノボとは
ボノボは、アフリカ中部のコンゴ民主共和国の森にだけ暮らす類人猿です。チンパンジーにとてもよく似ているため、20世紀に入るまでチンパンジーと区別されておらず、別の種類の類人猿がいることは知られていませんでした。ゴリラ、オランウータン、チンパンジーと並ぶ大型の類人猿の中で、最後に科学の世界に登場した動物です。
ボノボは、人間に最も近い動物の一つでもあります。DNAを調べると、人間とボノボ、人間とチンパンジーは、どちらも遺伝情報の大部分が共通していることがわかっています。
博物館の頭骨から見つかった新種
ボノボの発見は、森の中ではなく、博物館の中で起こりました。1929年、ドイツの研究者エルンスト・シュヴァルツは、ベルギーの博物館に保管されていた小さな類人猿の頭骨を調べ、チンパンジーとは違う特徴があることに気づき、チンパンジーの新しい亜種として発表しました。
その後、1933年にアメリカの研究者ハロルド・クーリッジが詳しく調べ、チンパンジーとは別の独立した種であると結論づけました。体がチンパンジーよりやや小さいことから、かつては「ピグミーチンパンジー」とも呼ばれましたが、実際には体の大きさはそれほど変わりません。
コンゴ川が分けた二つの類人猿
ボノボは、コンゴ川の南側の森にだけ暮らしており、チンパンジーは川の北側や東側に暮らしています。大きなコンゴ川は類人猿にとって渡ることのできない壁になっており、ボノボとチンパンジーの祖先は、この川によって分かれて、それぞれ別の道を歩んだと考えられています。
ボノボとチンパンジーの違い
ボノボは、チンパンジーに比べて手足が長く、頭が小さめで、顔が黒く、唇が赤みを帯びているのが特徴です。また、頭の毛が左右に分かれて見えることもあります。
大きな違いは、群れでの暮らし方にあります。チンパンジーの群れでは、オスどうしが激しく争ったり、ほかの群れと戦ったりすることがあります。一方、ボノボの群れでは、メスどうしの結びつきが強く、争いが少なく、仲間どうしの関係を穏やかに保つ行動が多いことで知られています。緊張した場面では、体をふれ合わせたり抱き合ったりして、気持ちを落ち着かせ、争いを避けるのです。
日本の研究者による長期調査
ボノボの野生での暮らしは、長い間ほとんどわかっていませんでした。1970年代から、日本の研究者たちがコンゴ民主共和国の村ワンバなどで、野生のボノボの長期的な観察を続けてきました。その研究によって、ボノボの群れの仕組みや、穏やかな社会の様子が少しずつ明らかになっていきました。1990年代以降には、国の内戦によって調査が中断される困難な時期もありました。
絶滅の危機
ボノボの生息数は少なく、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種に指定されています。森林の伐採や、食料として捕獲されること、内戦による混乱などが、ボノボを危機に追いやっています。現地では、地域の人々と協力した保護活動が続けられています。
「実在確認UMA」としてのボノボ
ボノボは、20世紀まで存在が知られていなかった大型の動物という意味で、かつては伝説や噂だった生き物が実在を確かめられたオカピやゴリラ、ジャイアントパンダなどと並べて紹介されることがあります。博物館の標本の中から新しい種が見つかったという例は、地球上にまだ知られていない生き物がいる可能性を感じさせてくれます。





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