イリオモテヤマネコとは
イリオモテヤマネコは、沖縄県の西表島(いりおもてじま)だけに暮らす野生のネコです。体の大きさはイエネコと同じくらいで、茶色っぽい毛に黒い斑点があり、耳の後ろに白い斑点があるのが特徴です。国の特別天然記念物に指定されている、日本を代表する貴重な動物です。
イリオモテヤマネコは、20世紀の後半になってようやく学術的に確認された「幻のネコ」でした。日本でこれほど新しい時代に、野生のネコが見つかったことは、国内外で大きなニュースになりました。
島で知られていた「山のネコ」
西表島では、昔から山にすむネコのことが「ヤママヤー(山のネコ)」「ヤマピカリャー(山で光るもの)」などと呼ばれ、島の人々には知られていました。夜の山で、目を光らせる不思議なネコの話が語り継がれていたのです。しかし、島の外の研究者にはその存在が知られておらず、学術的には確認されていない「幻のネコ」でした。
1965年の発見
1965年、動物文学作家の戸川幸夫が西表島を訪れ、島の人々から山のネコの話を聞き、その毛皮と頭骨を入手しました。戸川は、それが新しい種類のネコかもしれないと考え、標本を研究者に届けました。
この標本を調べた国立科学博物館の今泉吉典は、1967年に、新しい属と種のネコとして記載しました。20世紀も後半に、日本で新しい野生のネコが見つかったことは、世界中の研究者を驚かせました。
分類の見直し
その後、研究が進むと、イリオモテヤマネコは、アジアに広く分布するベンガルヤマネコに近い仲間であることがわかってきました。現在では、ベンガルヤマネコの亜種と考えられています。はるか昔、西表島が大陸とつながっていた時代に島へ渡ってきたベンガルヤマネコの仲間が、島の中で独自に暮らしてきたのです。
小さな島の大きな捕食者
西表島は、周囲が約130kmの島で、その大部分が亜熱帯の深い森に覆われています。イリオモテヤマネコは、この島の生き物の頂点に立つ捕食者で、ネズミなどの哺乳類だけでなく、鳥、トカゲ、カエル、昆虫など、さまざまな生き物を食べて暮らしています。泳ぎも得意で、川や沢に入って獲物をとることもあります。
このように、小さな島で、これほど多くの種類の獲物を食べて生きているネコは、世界的にも珍しいといわれています。
絶滅の危機と保護
イリオモテヤマネコの生息数は、約100頭と推定されています。島に暮らす数が少ないため、少しの環境の変化でも、絶滅の危機につながるおそれがあります。特に大きな脅威となっているのが、交通事故です。島の道路では、車にはねられるヤマネコの事故が毎年のように起きています。
島では、道路に「ヤマネコ注意」の標識を立てたり、ヤマネコが道路の下を通れるトンネルを作ったりするなど、保護の取り組みが続けられています。2021年には、西表島は、奄美大島や徳之島などとともに世界自然遺産に登録されました。
伝説から実在へ
島の人々の間で語られていた「山で光るもの」が、実在の新種のネコだったイリオモテヤマネコは、ナゾマップの「実在確認UMA」の代表的な例です。海外では、オカピやジャイアントパンダなども、かつて幻とされながら実在が確かめられた動物として知られています。





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