ギガス写本とは
ギガス写本(コデックス・ギガス)は、13世紀の初めにボヘミア(現在のチェコ)のポドラジツェにあったベネディクト会の修道院で作られたとされる、巨大な手書きの本です。「ギガス」はラテン語で「巨人」の意味。高さ約92cm、幅約50cm、重さ約75kgもあり、現存する中世ヨーロッパの写本の中で最大級とされます。現在はスウェーデンのストックホルムにあるスウェーデン国立図書館に所蔵されています。
悪魔の聖書と呼ばれる理由
ギガス写本が「悪魔の聖書(デビルズ・バイブル)」と呼ばれるのは、ページいっぱいに、角と鋭い爪をもち、赤い舌を出してしゃがむ悪魔の姿が大きく描かれているためです。その向かいのページには、天の都(神の国)が描かれており、天国と地獄を対比させたものと考えられています。
伝説によると、戒律を破って壁に塗り込められる罰を受けることになった修道士が、「一晩で修道院を永遠に讃える本を書き上げる」と誓いました。しかし真夜中になっても終わりそうになかったため、修道士は悪魔に魂を売って本を完成させ、感謝のしるしに悪魔の肖像を描き込んだといいます。
ギガス写本の内容
実際の内容は、ラテン語訳の聖書(旧約・新約)のほか、ユダヤの歴史家ヨセフスの『ユダヤ古代誌』、セビリャのイシドルスの百科事典『語源』、ボヘミアの年代記、医学書、悪魔祓いの呪文、暦などを一冊にまとめたもので、当時の知識の集大成ともいえる本です。
筆跡がほぼ一人の手によるとみられることから、研究者は、一人の書き手が20年以上かけて書き上げたのではないかと推定しています。一晩で書いたという伝説は、それほどまでに途方もない仕事だったことを物語っているのかもしれません。
ギガス写本の歴史
ギガス写本はボヘミアの修道院を転々としたのち、神聖ローマ皇帝ルドルフ2世のコレクションとしてプラハに置かれました。1648年、三十年戦争の終わりにスウェーデン軍がプラハを占領した際に戦利品として持ち去られ、以来スウェーデンに残されています。2007年には一時的にプラハへ里帰りして展示され、大きな話題となりました。同じルドルフ2世の手を経たとされる本に、ヴォイニッチ手稿があります。







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