ヴォイニッチ手稿とは
ヴォイニッチ手稿は、どの言語にも当てはまらない未知の文字で書かれ、奇妙な挿絵が添えられた手書きの本です。現在はアメリカのイェール大学バイネキ稀覯本図書館に「MS 408」として所蔵されています。羊皮紙で作られた約240ページが残っており、「世界で最も謎めいた書物」とも呼ばれます。
名前は、1912年にイタリアでこの本を手に入れたポーランド出身の古書商ウィルフリッド・ヴォイニッチにちなみます。2009年に行われた放射性炭素年代測定では、羊皮紙は1404〜1438年ごろのものと判明しました。
ヴォイニッチ手稿の内容と挿絵
手稿は、挿絵の内容から大きく「植物」「天文・占星術」「生物(浴槽の女性たち)」「薬学」「レシピ」の部分に分けられています。植物の部では、実在するどの植物とも一致しない花や根が描かれ、生物の部では、緑や青の液体に満たされた浴槽やパイプの中に、裸の女性たちがたたずむ不思議な絵が続きます。
文字は流れるような筆記体で、同じ単語がくり返し現れるなど、でたらめに書いたにしては言語らしい規則性をもつことが分析でわかっています。
ヴォイニッチ手稿の歴史
手稿に挟まれていた1665年(または1666年)の手紙によると、この本は神聖ローマ皇帝ルドルフ2世が600ドゥカートで買い取ったものだと伝えられ、のちにプラハの学者を経て、イエズス会の博学者アタナシウス・キルヒャーのもとに送られたとされます。その後200年以上行方がわからなくなり、ヴォイニッチによって再び世に出ました。
解読の試みと正体の諸説
第二次世界大戦の暗号解読者や言語学者、近年ではAIを使った研究まで、多くの人が解読に挑んできましたが、広く認められた解読はまだありません。正体については、暗号で書かれた本、絶滅した言語や人工言語で書かれた本、16世紀の錬金術師エドワード・ケリーらが作った偽物、意味のない文字を並べた作品など、さまざまな説があります。ただし、羊皮紙が15世紀前半のものであることから、近代の偽造説は難しいと考えられています。
同じように未解読の文字で書かれた本として、レヒニッツ写本や、現代の作品であるコデックス・セラフィニアヌスがよく並べて紹介されます。



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