八尺様とは
八尺様は、身長が八尺(約2.4m)もある大きな女の怪異です。白いワンピースに帽子をかぶり、長い黒髪を垂らした姿で、「ぽ、ぽぽ、ぽぽ」という男のような低い声で笑うとされます。八尺様に魅入られた若い男は、数日のうちに取り殺されてしまうといわれています。
八尺様は、2000年代後半にインターネットの掲示板から広まった、いわゆる「ネット怪談」の代表的な存在です。昔からの伝承ではなく、ネットの時代に生まれた新しい怪談ですが、今では多くの人に知られています。
元ネタは「洒落怖」
八尺様の話は、2008年に、インターネットの大型掲示板のオカルト系の場所にあった、「死ぬほど洒落にならない怖い話を集めてみない?」という名前のスレッド、いわゆる「洒落怖(しゃれこわ)」に投稿された体験談が元になっています。洒落怖には、読者から本当にあった怖い話として数多くの体験談が投稿され、その中から人気の怪談がいくつも生まれました。
あらすじ
投稿者は、子どものころ、春休みに祖父母の住む田舎の家に遊びに行きます。庭で遊んでいると、生け垣の向こうから「ぽぽぽ」という声が聞こえ、生け垣の上から白い帽子が見えました。生け垣の高さは2m近くあったのに、帽子はその上を動いていたのです。
そのことを話すと、祖父母の顔色が変わりました。それは「八尺様」という、この地域に封じられている怪異で、若い男に魅入ると取り殺してしまうというのです。少年は、お札を貼った部屋に一晩こもることになり、外から祖父の声で呼びかけられても、決して返事をしてはいけないと言われます。翌朝、親族たちが集まり、少年は車に乗せられて村から逃げ出しました。村の境には地蔵が置かれており、八尺様はその地蔵によって村の中に封じられている――という話です。
なぜ人気になったのか
八尺様の話が人気を集めたのは、生け垣の上から帽子だけが見える、祖父の声をまねて呼びかけてくる、といった具体的でぞっとする描写が多かったためです。また、田舎の古い言い伝えや、地蔵による封印、お札、親族総出の脱出など、日本の昔ながらの風習を思わせる設定が、「本当にあるかもしれない」と思わせる説得力を生みました。
その後、八尺様は、イラストや漫画、ゲーム、動画など、さまざまな作品の題材になりました。白いワンピースと帽子の大きな女性というわかりやすい姿は、多くの人に描かれ、ネット怪談の代表作として広く知られるようになりました。
背の高い怪異の伝承
背の高い怪異の話は、昔の日本にもあります。江戸時代の浮世絵師・鳥山石燕の妖怪画集には、遊女屋の二階をのぞき込む背の高い女の妖怪「高女(たかおんな)」が描かれています。また、見上げるほどどんどん大きくなる見越し入道も、背の高い妖怪として知られています。
ネット怪談の仲間たち
八尺様と同じように、インターネットの掲示板から広まった怪談には、田んぼに現れる白い怪異くねくねや、存在しない駅に迷い込むきさらぎ駅などがあります。アメリカで生まれた、背の高い顔のない男スレンダーマンも、ネットで生まれた背の高い怪異として、八尺様とよく比べられます。



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