オシラサマとは
オシラサマは、岩手県や青森県など東北地方の旧家でまつられてきた家の神です。桑の木を削って作った30cmほどの棒の先に、馬の顔と娘(または男性)の顔を彫ったり描いたりした一対の人形で、その上から「オセンダク」と呼ばれる布を何枚も重ねて着せます。
家の守り神であるとともに、養蚕の神、農業の神、目の神、子どもの神などとして信仰され、正月や春・秋の祭りの日には、イタコ(巫女)がオシラサマを両手に持って振りながら祭文を唱える「オシラ遊ばせ」が行われてきました。
『遠野物語』のオシラサマ伝説
柳田國男が佐々木喜善から聞き書きした『遠野物語』(1910年)には、オシラサマの由来として次のような話が記されています。
昔、ある貧しい農家に美しい娘がいて、家で飼っていた馬と仲良くなり、ついには夫婦になってしまいました。怒った父親は馬を桑の木に吊るして殺してしまいます。悲しんだ娘が馬の首にすがって泣いていると、父親は斧で馬の首を切り落としました。すると娘はその首に乗ったまま天に昇っていき、これがオシラサマになったといいます。別の話では、天に昇った娘が両親の夢に現れ、臼の中に蚕がわくことを告げたとされ、オシラサマが蚕の神とされるのはこのためです。
オシラサマをめぐる言い伝え
オシラサマには、まつり方を誤ると祟る神という一面もあり、「四つ足の動物の肉を食べると罰が当たる」「オシラサマを粗末にすると口がゆがむ」などの言い伝えがあります。岩手県遠野市の「伝承園」には、約1000体のオシラサマを納めた「御蚕神堂(オシラ堂)」があり、その数に圧倒されます。同じく遠野に伝わる座敷わらしや河童とともに、東北の豊かな民間信仰を伝える存在です。





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