座敷わらしとは
座敷わらしは、岩手県を中心とする東北地方の古い家に住むとされる、子どもの姿をした妖怪です。おかっぱ頭で赤い顔をした5〜6歳ほどの子どもの姿で語られることが多く、「座敷童子」とも書きます。地域によって「ざしきぼっこ」「くらぼっこ」などとも呼ばれます。
座敷わらしは、家に福をもたらす守り神のような存在として、日本の妖怪の中でも特に親しまれています。人を怖がらせる妖怪ではなく、会えると幸運が訪れるといわれる、珍しい妖怪です。
座敷わらしがいる家は栄える
座敷わらしが住んでいる家は栄え、座敷わらしが出ていってしまうと、その家は衰えてしまうと言い伝えられてきました。そのため、古い家では座敷わらしを大切にし、座敷わらしが住む部屋に食べ物を供えたり、おもちゃを置いたりすることもありました。
座敷わらしの存在は、夜中に座敷で子どもが走り回るような足音がする、寝ている間に枕をひっくり返される、子どもたちが遊んでいると知らない子が一人まじっていて数が一人多い、といった形で語られます。座敷わらしの姿は、子どもには見えても、大人には見えないともいわれます。
『遠野物語』の座敷わらし
座敷わらしの話を広く世に知らせたのが、民俗学者の柳田國男が1910年に出版した『遠野物語』です。この本は、岩手県遠野出身の佐々木喜善が語った故郷の言い伝えを、柳田がまとめたものです。
『遠野物語』には、ある旧家で、座敷わらしとみられる見慣れない二人の娘が家を出ていくのを見た人がいて、その後まもなく、その家の家族が毒キノコを食べて次々と亡くなり、家が絶えてしまった、という話が収められています。座敷わらしが去ると家が衰えるという言い伝えを、具体的に伝える話です。
佐々木喜善の研究
佐々木喜善は、その後も座敷わらしの話を集め続け、1920年に座敷わらしについての本を出版しました。そこでは、座敷わらしにもいくつかの種類があると紹介されています。顔が白く美しい「チョウピラコ」と呼ばれる座敷わらしもいれば、家の中を這い回る「ノタバリコ」と呼ばれるものもいたといいます。座敷わらしは、地域や家によって、さまざまな姿で語られていたのです。
座敷わらしの正体は?
座敷わらしの正体については、さまざまな考え方があります。家の守り神や、家の祖先の霊が子どもの姿で現れたものだという考え方のほか、昔の厳しい暮らしの中で、幼くして亡くなった子どもたちの霊ではないかという説もあります。また、古い家の暗い座敷やきしむ床の音、家の栄えや衰えといった出来事を、子どもの姿の神様に結びつけて語ったものとも考えられます。
座敷わらしに会える宿
岩手県二戸市の金田一温泉には、「座敷わらしが出る」と評判の旅館があり、会うと幸運が訪れるとして、全国から多くの人が訪れてきました。この旅館は2009年に火事で焼けてしまいましたが、のちに再建され、今も多くの人が座敷わらしとの出会いを願って泊まりに来ています。岩手県には、ほかにも座敷わらしにゆかりのある宿や家がいくつかあります。
福をもたらす妖怪
家に福をもたらす不思議な存在は、世界各地に伝わっています。ロシアの家の精霊ドモヴォーイや、ドイツのコボルトも、家に住みついて家族を見守るとされる存在です。大切にすれば家を守り、ぞんざいに扱えば去ってしまうという点で、座敷わらしとよく似ています。







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